■ 食堂の収納を考えてみましょう。 ■

食堂、食卓について考えてみましょう。二つの呼称を使ったのは、日本の家庭でこの部分のとらえ方が一番難しいからです。欧米のように独立した食堂のある家は、日本の場合ごく一部でしょう。やはりスペースが足りないのが一番の問題で、多くの場合、台所と連動したダイニングキッチンか、居間とスムーズにつなけたリビングダイニングです。



前者の場合、収納はキッチンのキャビネットと一緒に計画できます。仕上げ材を同じにして一つの空間をつくり出したり、食器や家電製品を使用頻度の多い場所に分散して、「作る」と「食べる」を一連の動きの中で考えられる利点があります。


後者の場合、くつろぎを重要視する居間と一緒に計画するわけで、テーブルの回りに欲しい収納部はひとつの家具ということになります。便利であると同時に美しいことが大切です。このように、それぞれ間取りにマッチした方法で計画することがポイントになります。



(仕掛け収納が演出の決め手)

素早く食べたい、ゆっくり過ごしたい、家庭の食卓は実に欲張りな場所です。実用でいけば炊飯ジャーからポット、トースターも欲しい、しかもテレビやオーディオもあれば申し分ないところでしょう。しかし、現実にすべての物がテーブルを囲んでいたとしたら生活臭が出すぎで、とてもうるさい部屋になります。その場合、使うときだけ出してくる仕掛けがとても便利です。


模様のついた炊飯器やポットも居間の家具と同じ素材の扉で隠せば、使わない時はぐっとお洒落な空間になります。何をどの位置に置いたら便利か、まず使い勝手の面から考えた後に、どうやってすっきり見せるか、隠す手段を工夫してみましょう。実はこの考え方が台所や居間とつながる食堂をすっきりとまとめるのにとても有効になります。

大型の食器はキャビネットの収納の一部に、グラスやカップは飾り棚に、茶碗や湯のみは台所に、それぞれちょうどいいスペースに納めればそれだけスペースが有効に使えるわけです。

そうしてみると食卓回りは、実用と雰囲気を活かすための仕掛けがいろいろ必要ということがわかります。が、それは同時に、とても費用のかかる家具づくりになっていくことでもあります。何十万もする収納の中に、ほとんど使わない食器などを並べていたりするのは本末転倒。それならいっそのこと、やめて広い空間を確保した方がいいです。雑誌やコマーシャルで新しい仕掛けがつぎつぎに登場する今だからこそ、わが家に何が便利かじっくり考えてみるべきでしょう。




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第31回は、窓辺の季節感です。
( UP DATE: 2008.03.16 )